「どういたしまして」 産経新聞 朝晴れエッセーより
     「どういたしまして」
                    小関久子(91歳)                                
                    川崎市麻生区

 ようやく書き終えた手紙を出しに、ポストまで行こうと玄関を出た。風の少し寒い土曜日の午後だった。

 ポストまで、さほど遠くないが、バス通りの横断歩道を渡らなければならない。

 足が悪く、杖を持つ高齢の身には、転ばないよう緊張の連続である。

 ようやく渡り終え、ポストの前まで来たとき、一人の少年が向こうから走ってきた。

 小学1,2年生くらいだろうか。片手に白い封筒を持っている。

 ポストの前の少年、その後ろに私は立ち、手さげ袋に入れてきた手紙を取り出そうと身を屈めていたとき、少年が投函したであろう微かな音が聞こえた。

 手さげから取り出した手紙を私も入れようと、顔を上げて驚いてしまった。

 その少年は、ポストの横にぴったりと体を寄せ、無言のまま私をじーっと見ている。

 一瞬えっと思ったが、目をこらすと、少年はポストの郵便差し入れ口を、小さな手で押さえ、手紙を入れ易いよう、開けていてくれたのだ。

 何ということだろう。年端もゆかない、見知らぬ少年のこの思いやり、じーんと熱いものがこみ上げてきた。

 「ご親切にありがとう」

 「どういたしまして」
 
 そのひと言を残し、少年は、さーっと走って行ってしまった。

                        令和2年4月9日(木)

 

 
かなしい風船
   
          中嶋晃太郎 9歳 広島県福山市


     かなしい風船

   パパに怒られないのは

   大吉をひいた時みたい

   おこられると

   かなしい気持ちが

   風船みたいに

   ふくらんで

   よいこと

   楽しいことが

   はじきとばされて

   しまうんや

     産経新聞 朝の詩より  平成31年3月27日
息子を守り続ける五月人形
               産経新聞 投稿欄より

 「脳性まひかもしれませんね」と小児科の医師に告げられた。それは「風邪ですね」の言葉と全く同じようなトーンだった。男女の双子として生まれた息子は娘と比べて成長が遅く、それが私の悩みだった。

 そんなとき、母から「五月人形を買おう」と誘われてお店に行ったが、私は気が重かった。年配の店員さんが「鎧兜にはお子さまの健やかな成長と身を守るという意味が・・・」と説明を始めると、母は間髪入れずに「一番立派な鎧兜をください」と。私はただただびっくりした。

 「この鎧兜が一生お子さまをお守りします。お約束します」。店員さんは一つ一つ梱包しながら、そう笑みをたたえた。

 あれから28年。あの日の約束はずっと守られている。店員さんの言葉と母の心意気を胸に、私は今年も五月人形を飾る。

               千葉市若葉区 岡 晴美 58歳 無職
だ い す き 〜 朝の詩より
           
            産経新聞 朝の詩1月「月間賞」


            奈良市 藤井健(たける)くん (3歳)


     だいすき


   かあちゃんだいすき

   とうちゃんだいすき

   にいちゃんだいすき

   じぃじもばぁばも

   みんなだいすき

   じぶんもだいすき


   かあちゃんんは

   じぶんすき?


   じぶんのこと

   だいすき?


*お母様の智子さんのことば

食卓で会話しているときに出てきた言葉です。ドキッとしてすぐに答えられず、心に響いたので書き留めました。受賞にはびっくりしましたが、とてもうれしい。もう少し大きくなったら、受賞の意味を分かるように教えたいと思います。   
かぞく  〜  朝の詩より
       かぞく

              大阪府岬町
              辻下 麻乃 8歳


     かぞくは

     せかいいち

     すきな人です

     だって

     自分の

     いのちの

     一つなんだもん