あっぱれ!山田選手〜つきBONの「誤解をおそれず…」
 
WBCが盛り上がっている。日本の快進撃は嬉しい限りであるが、その中の一つのエピソードが心に残った。

 7日のキューバ戦。同点の4回2死二塁だった。山田哲人選手(ヤクルト)の捉えた打球は左翼席に向かった。だが、スタンド最前列で観戦していた男子中学生がとっさにグラブを出してキャッチしてしまった。“捕球位置”が外野フェンスより前だったため、リプレー検証へ。勝ち越し2ランは二塁打と判定された。

 ところがビデオでよく見るとさわりさえしなければボールはスタンドに飛び込んでいたことがわかったため、SNSが炎上することになった。むろん男子中学生への非難の渦である。「これで負けてたらどうしてくれるんだ」「信じられない。球場への出入り禁止だ」


 男子中学生は青ざめた表情でフードを目深にかぶったままであった。思わず捕ってしまったのか、と問われ、うつろな表情で「はい」とだけ答えたという。球場関係者から口頭注意も受け、最前列で観戦した仲間とともに最後までその視線は上がらなかった。

 試合後、ことの顛末を知った山田選手は少年にこうメッセージを送ったという。
「僕は全然気にしてない。だから野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい」

  彼はこうも言う。
「グラブを持って来てくれたんだから、野球少年なんでしょうね。これも何かの縁だし、将来プロ野球選手になって、一緒に『あんなことがあったね』と懐かしい話ができるように頑張ってほしい。僕も完璧な本塁打を打てるように頑張ります」

 彼の一打は幻のホームランに終わった。しかし、それ以上の感銘を日本中に、何よりこの少年に与えてくれたのではないか。何という器量であろう。さすがに一流選手は人柄からして違う、とうならされたのは私だけではあるまい。
 
 もしもこの後少年が甲子園にでも出場し、この事件が自分の一生を変えてくれた、ということにでもなったら、それはさらに大きな感動の輪を広げるであろう。しかし、仮にそうでなくとも少年にとって一生忘れられない「大人の優しさ」として刻みつけられることであろう。


 
どこかで似たような話を聞いたことがある、と考えていたら「レ・ミゼラブル」であることに思い当たった。修道院から銀の燭台や食器を盗み出し逮捕されたジャン・バルジャンに対し、ミリエル僧正は「これは私が彼にあげたものだが」と官憲に告げる。その優しさに打ちのめされた彼は改心し、のちに情け深い市長にまで上り詰めるというストーリーである。

 自分に不利益をもたらす者に対して人はしばしば正義やきまりを振りかざす。もしキューバに1点差で敗れていたとしたらファンも執拗に少年を非難し続けたかもしれない。それは決してまちがった理屈ではない。しかし、私はそれでも山田選手は少年に同じことを言ったのではないかという気がしている。

 勝ち負けや正不正というものを超える価値もこの世にはある。かつて運動部の顧問をしていた頃、とんでもないミスでピンチを招いてしまった選手もいた。まとまったチームであれば部員は決して彼を責めない。むしろ試合後彼が立ち直れないことがないよう、絶対に逆転するぞ、という闘志を全員がかき立てるのである。人は自分のためにがんばる場合はせいぜい100%の力しか出せないが、誰かのため、という思いを背負うと120、150のパワーを発揮することがある。そういう経験がチームワークというものの本質なのであろう。点がラインに結ばれ、さらに面をつくっていくチームほど頼もしいものはない。

 幸い11対6というけっこうな大差でキューバに勝つことができた。誰よりほっとしているのは男子中学生であろう。うまくいかないことを常にだれかのせいになすりつけようとする事件や人々の多い中、山田選手の言葉は一陣の涼風のように列島を駆け抜けていった。

                            2017/03/11(土) 06:43:04
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